「帝王の誤算」鷹匠裕著

公開日: 更新日:

 倉澤真美の夫は日本最大の広告代理店「連広」に勤めていたが、同社には過酷な働き方を強いる「十の掟」があり、夫も連日の無理がたたり過労死してしまう。残された真美は、夫の上司・城田常務の秘書として連広に中途採用される。城田は順調に出世街道を上ってきており、「十の掟」を信奉する強面役員として社員から恐れられていた。

 時はバブル前夜。広告業界も大きな変わり目を迎えていた。

 自動車メーカーの最大手トモダの広告をめぐる業界2位の弘朋社との熾烈な争い、有力政治家を巻き込んでの都知事選への関与、アマチュア規定を覆して有名スポーツ選手をCMに登場させる「がんばれ! ニッポン」キャンペーンなど、城田はその剛腕ぶりを発揮して、ついに社長の座を射止める……。

 広告業界に身を置いていた著者だけに、バブル期から今世紀初頭における広告業界の狂奔ぶりが、実にリアルに描かれる。過労死を生むに至った会社にとって、一体何が「誤算」だったのかを、鋭く問いかけてくる。

(KADOKAWA 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    国分太一は会見ナシ“雲隠れ生活”ににじむ本心…自宅の電気は消え、元TBSの妻は近所に謝罪する事態に

  4. 4

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  5. 5

    中島歩「あんぱん」の名演に視聴者涙…“棒読み俳優”のトラウマ克服、11年ぶり朝ドラで進化

  1. 6

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒

  2. 7

    投手大谷の「オープナー起用」は逆効果…ド軍ブルペンの負担は軽減どころか増す一方

  3. 8

    "花田家と再婚"は幸せになれる? 元テレ東・福田典子アナに花田優一との熱愛報道も…恋多き一族の因縁

  4. 9

    ソシエダ久保建英にポルトガル名門への移籍報道…“あり得ない振る舞い”に欧州ザワつく

  5. 10

    「コンプラ違反」で一発退場のTOKIO国分太一…ゾロゾロと出てくる“素行の悪さ”