「府中 三億円事件を計画・実行したのは私です。」白田著

公開日: 更新日:

 1968年12月に府中で起きた3億円事件。偽の白バイ隊員によって現金輸送車ごと奪われるという大胆な手口が話題をさらった。本書は、この事件の犯人を名乗る「白田」によって書かれた手記的小説。事件発生から50年を迎えた昨年、小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿され、果たしてこれは小説なのか、それとも犯人の告白なのかとネット界を騒然とさせた。

 ストーリーは、現在どこにでもいる老人のひとりとして穏やかな日々を送っている著者が、長年連れ添った妻が事故で亡くなったことをきっかけに過去に犯した罪を告白しようと決意するところから始まる。妻の葬儀後、3億円事件の犯人は自分であることを息子に告白した著者は、息子に促されて事件の真相を世に公表することを決心し、誰にも脚色されずに公表する手段として小説サイトに投稿することにしたというのだ。

 なぜこの事件を起こしたのか。なぜ捕まることなく時効を迎えられたのか。その後の人生はどうなったのかを告白の形でつづっている。青春時代の出来事が積み重ねられ、事件発生へとつながっていく展開に引き込まれる。

(ポプラ社 1000円+税)

【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  2. 2

    帝釈天から始まる「TOKYOタクシー」は「男はつらいよ」ファンが歩んだ歴史をかみしめる作品

  3. 3

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  4. 4

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  5. 5

    立川志らく、山里亮太、杉村太蔵が…テレビが高市首相をこぞってヨイショするイヤ~な時代

  1. 6

    (5)「名古屋-品川」開通は2040年代半ば…「大阪延伸」は今世紀絶望

  2. 7

    森七菜の出演作にハズレなし! 岡山天音「ひらやすみ」で《ダサめの美大生》好演&評価爆上がり

  3. 8

    小池都知事が定例会見で“都税収奪”にブチ切れた! 高市官邸とのバトル激化必至

  4. 9

    西武の生え抜き源田&外崎が崖っぷち…FA補強連発で「出番減少は避けられない」の見立て

  5. 10

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ