公開日: 更新日:

「情報戦争を生き抜く」津田大介著

 米特別検察官の捜査で、フェイクニュースが武器になる新たな戦争の時代が明らかになった。
◇
「ローマ法王はトランプ支持」「ヒラリーはISに武器を売却」「FBI長官はクリントン財団から数億円を受け取っている」
 これらは2016年の米大統領選でフェイスブックの上位表示に並んだフェイクニュースだという。実はその前、上位のニュース表示はすべて機械による自動判別といわれていたのが、実は人の手を介した「重み付け」をしていたことが内部暴露で発覚し、保守派からの非難が殺到。そこで担当者を全員解雇して機械判別にしたところ、これらのフェイク情報がたちまち上位になったというのだ。
 ソーシャルメディア時代の初期からネットの世界をウオッチしてきた著者は現代を「虚偽情報に汚染された時代」と呼ぶ。専門の研究者によるとフェイクニュースに踊らされた読者は少数。しかし別の専門家によるとクリントン陣営からの流出メールを使ったロシアのプロパガンダが接戦州の投票に明らかに影響を与えたという。まさに情報は戦争の武器なのだ。(朝日新聞出版 910円+税)

「フェイクニュース」一田和樹著

 フェイクニュースはいまや単なる「捏造(ねつぞう)報道」「ニセニュース」ではない。いまや戦争兵器としての重要性を増しているという著者は、IT企業の元重役で作家。独自の調査に基づいて新たな戦争の実態を探る。それが通常の兵器や戦略とフェイクニュースを組み合わせた「ハイブリッド戦」だ。
 クリントン陣営のハッキング事件からマケドニアに設けられたニセ情報を発信する偽造サイトの詳細まで、この数年で急拡大したフェイクの世界をあらわにする。
(KADOKAWA 840円+税)

「情報と戦争」ジョン・キーガン著 並木均訳

 古代からナポレオン戦争、南北戦争、2度の世界大戦、現代まで、情報(インテリジェンス)を制した者こそが勝利を手にした。その歴史を世界的に著名なイギリスの戦史家がたどったのが本書だ。
 世界史の大きな視野のなかで、戦時中の日本海軍がミッドウェーで犯した情報戦の致命的なミスの重大さが改めてよくわかる。ただし、情報はあくまで2次的要素。本物の力と組み合わさって初めて情報の威力も生まれると指摘する。
(中央公論新社 3800円+税)

【連載】本で読み解くNEWSの深層

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    萩本欽一〈48〉73歳で駒沢大学に入学、就活に悩む同級生にした「木彫り名人」の話

  2. 2

    萩本欽一〈47〉気仙沼ちゃんは民宿4軒経営の大女将に 説教してテレビで夫を募集させた甲斐があった

  3. 3

    阿部慎之助にした「今ならパワハラで即クビ」の指導&落合博満から学んだ仰天トレーニング

  4. 4

    モグライダーともしげが埼玉の中高一貫ミッションスクール聖望学園で打ち込んだアメフト《26年夏番外編》

  5. 5

    やっぱりか? 自民・村井国対委員長が高市首相「国会逃避作戦」画策…予算委出席「原則不要」案をリポスト

  1. 6

    萩本欽一〈46〉斉藤清六が泣きながら持ってきた1000万円、追い返そうと思って貯金額を聞いたら驚いた

  2. 7

    郊外に住むという選択肢 「都心から1時間」の狙い目エリア

  3. 8

    植田日銀シルバーウイーク前の「円高誘導」は大失敗…もはや為替介入はできない

  4. 9

    広島4番栗原に敵将・落合監督は「四球でいい」と助言を…

  5. 10

    高市首相の日米首脳会談「蜜月アピール」は突っ込みどころ満載…トランプ大統領は「心ここにあらず」