「負うて抱えて」二階堂和美著
お寺で育った娘が私立の保育所に通っていた。12月になるとクリスマス一色。楽しそうにしている3歳半の娘に、「うちにはサンタさんは来んけどね」と言ったら、「わかっと!」と返され、はっとしたという。子どもは子どもなりに心の整理をし始めていたのだ。そして、せがまれたわけでもないのに店頭で見かけた小さなピンクのツリーを、迷ったあげく買ってしまった。そのとき、自分の中で何かが崩れると同時に、突っ張っていた意地のようなものがほぐれるのを感じた。
ジブリ映画「かぐや姫の物語」の主題歌を作詞・作曲した1974年生まれのシンガー・ソングライターで、現在は実家の浄土真宗のお寺で僧侶もしている著者の珠玉のエッセー集。
(晶文社 1500円+税)