「湯けむり行脚」池内紀著

公開日: 更新日:

 秋田と岩手の県境に広がる八幡平には温泉がひしめいているが、そのどん詰まりのひとつ手前にあるのが、秋田の後生掛温泉だ。ここには、地熱で床がホコホコ温かいオンドルのほか、蒸し風呂、泥風呂、湯滝、火山風呂などがある。オンドル個室が1人3000円、大部屋が大人2000円(1996年)。自炊の電気・ガス代が1日200円(同)で、毛布も丹前も鍋もテーブルも借りられる。

 身ひとつでやって来て5年居ついている人がいて、息子一家が旅行を兼ねて訪ねてくるという。池内は1日3度も湯に入り、浴槽の縁に頭をのせて、流れ込む湯の音を聞いていた。

 他に、秩父困民党の面々が決起の前に集まった千鹿谷鉱泉の温泉宿など、100湯以上を紹介する温泉エッセー。

(山川出版社 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」