「ファクトフルネス」ハンス・ロスリングほか著 上杉周作ほか訳

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 低所得国に暮らす女子の何割が初等教育を修了するか。A20%、B40%、C60%。答えはC。もっと少ないと思い込んでいた人が多いのではないか。

 本書の冒頭にはこうした3択問題が13項目並び、温暖化問題を除く12項目(貧困、教育、エネルギー、人口問題など)で、先進14カ国1万2000人のほとんどが正答率が3割以下で、例は最も低い正答率の問題。いかに我々の直感が現実と離れているか、つまり世界の現状を「悪い」方向で考えているかを指摘する。

 では、なぜ我々はそのように考えてしまうのか。医師として長年ユニセフや世界保健機関で活躍した著者のハンスは、それは事実に基づいて(ファクトフル)世界を見ることができていないからだという。世界は悪くなっているというネガティブな思考、パターン化や単純化などさまざまな思い込みによって事実を曲げてしまう。そんな思い込みを排すべく、本書には豊富な事例と統計を基に、この数十年間で世界の貧困率は急速に改善されていることが示されている。間違いなく、本書を読むと世界が変わる。

(日経BP社 1800円+税)

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