「菊花の仇討ち」梶よう子著

公開日: 更新日:

 北町奉行所同心・中根興三郎は妹夫婦の家に向かう途中、ふと一軒の古手屋に吊り下げられている小袖に目を留めた。濃紺の地に籠目模様と珍しい変化朝顔の花が描かれている。変化朝顔を作り続けて15年の興三郎も、これまで見たことのないものだった。朝顔栽培の師匠・留次郎は江戸では見たことがない花だという。店の主人に尋ねても売り主がはっきりしない。

 そんなある日、興三郎は店の主人と若い女が、例の小袖のことで口論しているところに出くわす。女は留次郎の娘のおみねの幼馴染みで3年前に家出をしたきり行方不明になっていたお徳だった。興三郎がお徳を問いただすと、小袖を盗み、売ったのだと認めた。

 8年ぶりとなる「朝顔同心」最新刊。

 (文藝春秋 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした