「四角い光の連なりが」越谷オサム著

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 東京駅からやまびこ号に乗った僕は33年前に5歳で生まれて初めて新幹線に乗った。実家の「佐々木写真店」の近くの一ノ関駅から乗ったことを思い出していたら、50歳前後の男女が窓の外から手を振っているのに気づいた。

 隣席の女性が「ちょっと、やめてよ」と言った拍子に紙コップのコーヒーをこぼした。女性が僕に謝っているうちに列車は発車した。仙台に就職した彼女を、両親が見送りにきたのだという。  僕はかつて2年で会社を辞めて実家に帰り、「店、継いでやろうか?」と言って父に怒鳴られたことを思い出した。今日は喪服を持ってその実家に向かっている。(「やまびこ」)

 列車にまつわる5つの物語。

(新潮社 1550円+税)

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