「本能寺の変 信長の誤算」井上慶雪著

公開日: 更新日:

 天正10年6月1日、織田信長は本能寺で茶会を開いた。翌2日の早暁、本能寺にいた織田信長と、妙覚寺にいた嫡男の信忠が何者かに暗殺された。本能寺には桔梗紋の明智の旗印が残されていて、京の町には「日向守様、御謀反!」の情報が飛び交った。

 しかし、明智軍が駆けつけたときはすでに本能寺は焼け落ちていたのだ。一介の連歌師にすぎない里村紹巴が妙覚寺にいた誠仁親王を救出したというのも解せない。「日向守様、御謀反!」の情報も実は真の襲撃軍が意図的に流した偽情報ではなかったのか。後に、「ときは今 あめが下知る 五月哉」という光秀の発句を、まるで光秀の謀反宣言であるかのように紹介したのも巧妙な計略がにおう。

 公家の日記などの矛盾点を読み解き、「光秀犯人説」を否定し、本能寺の変は秀吉の陰謀だったと説く異色の本。

(祥伝社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  2. 2

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  3. 3

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘

  4. 4

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  5. 5

    元フジテレビ長谷川豊アナが“おすぎ上納”告白で実名…佐々木恭子アナは災難か自業自得か

  1. 6

    「まつもtoなかい」長渕剛"神回"が話題に…「仕事と愛どっち取る?」の恋愛トーク!

  2. 7

    生島ヒロシ降板騒動は起こるべくして起きた!コンプラ違反が当たり前…大物司会者のヤバイ言動の数々

  3. 8

    ソフトバンク上沢直之への“取材NG”で雑音封印の配慮…昨季の山川穂高と同様、個別取材すべて却下

  4. 9

    香取慎吾は「三重苦」を克服できるか? 主演ドラマ不発の原因は「不肖の兄」「反フジテレビ」と…

  5. 10

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”