「本能寺の変 信長の誤算」井上慶雪著

公開日: 更新日:

 天正10年6月1日、織田信長は本能寺で茶会を開いた。翌2日の早暁、本能寺にいた織田信長と、妙覚寺にいた嫡男の信忠が何者かに暗殺された。本能寺には桔梗紋の明智の旗印が残されていて、京の町には「日向守様、御謀反!」の情報が飛び交った。

 しかし、明智軍が駆けつけたときはすでに本能寺は焼け落ちていたのだ。一介の連歌師にすぎない里村紹巴が妙覚寺にいた誠仁親王を救出したというのも解せない。「日向守様、御謀反!」の情報も実は真の襲撃軍が意図的に流した偽情報ではなかったのか。後に、「ときは今 あめが下知る 五月哉」という光秀の発句を、まるで光秀の謀反宣言であるかのように紹介したのも巧妙な計略がにおう。

 公家の日記などの矛盾点を読み解き、「光秀犯人説」を否定し、本能寺の変は秀吉の陰謀だったと説く異色の本。

(祥伝社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか