「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記」宮崎伸治著
E出版の社長から、超特急の翻訳の依頼があった。著者の外国人は人間的にはまったく信頼できないが、金儲けがうまいから本を売ってくれるのではないかと言う。支払い条件は1冊で150万円、全額前払い! 下訳なら引き受けたくないので、「翻訳者として私の名前は表紙に載るんですよね」と尋ねると、「そんなの当たり前じゃないか」との返事。社長から著者に確認したとの連絡があって、数日後、150万円が振り込まれた。
ところが、口頭での約束では、初版の売れ残りは原著者が引き取るということだったのに、社長のもとに売れ残った分だけ「印刷費用で買い取る」というFAXが……。
出版界のあまりのでたらめさに燃え尽きた翻訳家の憤怒の日記。
(三五館シンシャ 1400円+税)