「自己決定の落とし穴」石田光規著
「自己決定の落とし穴」石田光規著
人類は歴史の大半において集団で協力し、集団のルールに従って生きてきた。しかし、社会が豊かになるにつれ、個人を尊重する思想が浸透し、社会の中心単位が個人となる「個人化社会」へと変貌。個人化社会は「自分のことを自分で決める」ことを社会として個人に強く求める。
誰かに命令されるより、自分で考えて行動した方が気持ちがよい。一方で私たちは「決めることを積極的に回避する傾向」も持ち合わせている。
本書は、決めることと責任の問題、自己決定を求められるゆえに発生するストレスなど、そんな社会のさまざまな現象を読み解きながら、本来はよしとされるはずの自分で決められる社会で、なぜ疲れてしまうのかを考察し、目指すべき社会について論じたテキスト。
(筑摩書房 990円)