「野の鳥と花かがり」真木広造撮影・監修
「野の鳥と花かがり」真木広造撮影・監修
野鳥の写真集である。主役はもちろん野鳥だが、ただでさえ美しくかわいらしいその姿を引き立てるように、季節の花とのツーショットをとらえた写真が並ぶ。
ショウブの花に似た形状のオクラレルカの美しい薄紫の花の上に踏ん張るようにして止まり、ちょっと得意げに見える顔のセッカ(沖縄県大宜味村)、紫色のじゅうたんのように広がるレンゲソウの原っぱに降り立ったナベヅルのカップル(鹿児島県出水市=写真①)、それぞれにコヒガンザクラの花をついばむニュウナイスズメの雄と雌のショット(群馬県館林市)、そしてネジバナが咲く草地にたたずむ小紋の着物を着ているかのようなおしゃれな夏羽のムナグロ(沖縄県与那国町)など。
まずは冬の寒さを乗り越え、ようやく訪れた春を満喫する鳥と花たちの競演から。
ナベヅルのように雄と雌の見分けがつかない鳥もいれば、ニュウナイスズメのように、姿かたちは似ていれど、羽毛の色が全く異なり別種のように見える鳥もいる。
枝の先に咲くヒメコブシの花を狙っているのかその細い枝につかまるメジロ(山形県河北町)、満開のカワヅザクラの枝につかまりあおむけになって下から見上げるように花の蜜を吸うヒヨドリ(埼玉県熊谷市)など、小鳥たちはアクロバットさながら、自由自在に花と花の間を行き来する。
登場する数は少ないが、センダンの枝木に止まって羽を休めるサシバ(沖縄県石垣市=写真②)などの猛禽類もいる。
中には、「森の妖精」と呼ばれ、瑠璃色の羽など体色が8色もある美しい絶滅危惧種ヤイロチョウ(石川県輪島市)や、日本で観察するのは珍しく幻の鳥と呼ばれている渡り鳥「ヤツガシラ」(沖縄県与那国町)などの希少な鳥たちも多数収録。
蓮池の上で飛びながら空中で子どもに給餌するツバメの親子(愛知県愛西市)や、池から伸びた蓮の花の茎につかまりポールダンサーのように体を伸ばして小魚を狙うヨシゴイ(新潟県阿賀野市=写真③)、いままさに獲物に飛びかかろうと狩りの体勢に入ったアカアシチョウゲンボウの幼鳥(山口県山陽小野田市)など、決定的瞬間をとらえた作品もある。
ここまで読んでお気づきのように、撮影地は全国に及ぶ。
日本の鳥類全種類の撮影に挑んでいるという著者は、これまでに690種を撮影。本書にはそのうち76種もの鳥たちが収録されており、季節ごとに姿を見せる渡り鳥も含め、折々の花々とともにそれぞれが一枚の作品に収まる。
花鳥風月という言葉があるように、鳥と花の組み合わせは、見るものを風流な気分にさせてくれ、自然への畏敬の思いを新たにさせてくれる。
新しい年の始まりに手に取るのにおすすめの一冊。
(メイツ出版 2420円)



















