「『酔っ払い』たちの日本近代」右田裕規氏
41年5月の読売新聞には、東京市内13駅の終電客を10日間にわたって観察したところ、酒気帯び者が7割弱にも上った調査データが掲載されている。どれだけ飲んでも夜のうちに家に帰り、翌日の仕事に備えようとする姿は、現代のサラリーマンに通じるものがある。
「やがて都市では、いくら飲んでも理性を失わないことが重要視されるようになり、ロールモデルとして財界の大物らが注目されました。接待の場ではお酒が弱いことはマイナスだとして営業担当者などは酒を飲む訓練をさせられたこともあったようです」
本書では、ほかにも社用族や日本の飲酒文化の主役が米から麦に交代していく過程も考察されている。
酒は長い歴史の中で人々の余暇や労働に果たしてきた役割が大きいが、最近は非飲酒者が増加してきた。
「酒には普段と違う気分になることで会社などでは上下関係を気にせず集団の結束を強める力があると思うのですが、今は飲まない人が増えてきて残念な気もします」
(KADOKAWA 1034円)

















