「『酔っ払い』たちの日本近代」右田裕規氏

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 本書は、労働とアルコール文化を研究テーマにする社会学者が、近世から近代へと時代が移る中、大きく変わってきた人々の生活と労働環境がどのように飲酒様式に影響を与えたのか考察したものである。酒好きには大変興味深い一冊だ。


 近世では酔いつぶれるほどの飲み方がよしとされた。

「近世の飲酒は労働から離れた非日常のものであり、放埒な飲酒が一般的になっていました。村落社会では、特別な日に人々が集まって酔いつぶれるまで飲み、たとえ酔ってなくても酔っぱらっているふりをするのがマナーであり、儀礼的性格を持っていました」

 酒を提供する側は、祝い日に備えて米から自家醸造し酒を造り、近隣に存分に振る舞う。これは自家が貧民世帯でないことのあかしでもあり、村内での地位を保持する重要な意味も持っていた。

 しかし、やがて近代となり、20世紀が到来すると飲酒形態も変化する。

「近世では仕事中の昼酒はよくある習慣でしたが、近代となり、都市部での工業化が進むと、昼間は勤務時間として固定された上に雇用側からの規則もあったため、昼酒はやめ、勤務後の夜や休日に飲むスタイルに変わっていったのです。1930年代には夜の繁華街を楽しむ人口は大きく増加しています」

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