ブラック企業の深刻実態 「仕事やめてくる」で浮き彫りに

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 厚生労働省が先日、ブラック企業リスト334社を実名で公表した。過労死事件の電通はじめ大手企業の名前も並ぶが、誰もが思うようにこれは氷山の一角。昨年は就活に失敗した若者の自殺者も増加、働く前から消耗しきった日本の労働者の姿が浮かび上がる。

 そんな中、労働現場の惨状をリアルに描く映画「ちょっと今から仕事やめてくる」が話題だ。作品が放つ時代性について映画批評家の前田有一氏が解説する。

「主人公の新入社員が自殺未遂に追い込まれるブラック職場の描写が強烈です。『鬼十則』をほうふつとさせる社訓や軍隊式の朝礼、サービス残業は月150時間、遅刻は罰金。中でも吉田鋼太郎演じるサディスト上司のパワハラは凄まじく、恫喝や土下座強要で主人公をイジメ抜きます。報道されている過労死職場の問題点を凝縮したような設定で、労働者が見たら誰もがどこかに共感できてしまうところが怖い」

■工藤阿須加が「今どきの若者」好演

「八日目の蝉」「ソロモンの偽証」の成島出監督が北川恵海の同名小説を映画化。ブラック企業で心身ともに追い詰められた若者タカシ(工藤阿須加)が電車に飛び込もうとした瞬間、小学校時代の同級生ヤマモト(福士蒼汰)に救われる。だがタカシにはヤマモトの記憶がまるでない。この男は本当に同級生なのか……。ミステリー的趣向を凝らしつつ、ブラック企業にいち労働者がどう対峙するかを描く人間ドラマだ。

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