分断社会の行く末を警告…傑作「ジョーカー」を見逃すな

公開日: 更新日:

 バットマンが出てこないバットマン映画――DCコミックスの代表的ヒーローの宿敵を主人公にした映画「ジョーカー」が、全世界的に大ヒットスタートを切った。北米では10月の封切り作品としては過去最高の興収を記録。R指定作品として若年層の観客を見切った残酷で生々しい作風が、これまでのコミックファンをもうならせている。映画批評家の前田有一氏はこう言う。

「DCは、アベンジャーズシリーズで知られるライバルのマーベル社と違い、『ダークナイト』(2008年)など大人向けのバットマン映画で成功してきた経験があります。『ジョーカー』はそれをさらに突き詰めた作りで、肝心のバットマンすら登場せず、悪役ジョーカーの誕生秘話だけを描いています。トランプ大統領が進める分断社会の行く末にある破滅を警告する社会風刺になっている点も、当時の対テロ戦争政策を批判した『ダークナイト』の印象に近い」

 のちにジョーカーとなる青年アーサー(ホアキン・フェニックス)は、ピエロの扮装で大道芸人まがいの日雇い仕事をして、病気がちの母との暮らしを支えている。だが彼は、緊張すると笑いが止まらなくなる持病が原因で、普通の社会生活に適応できない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    長瀬智也が国分太一の会見めぐりSNSに“意味深”投稿連発…芸能界への未練と役者復帰の“匂わせ”

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  3. 8

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  4. 9

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  5. 10

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…