芸人とはお客が言いたくても言えないことを代弁する存在

公開日: 更新日:

 談志は自分が認めた芸人に対しては、時に最大級の賛辞を贈る。

「その日のアンケート用紙には僕のことなど誰も触れません。皆が、『談志は凄い』『家元に感動!』といった感想ばかり。そのことを志の輔師匠に話したら、『うちの師匠はそうやって人のファンを自分のファンにしちゃうんだよね』と笑ってました」

 以後、談志はヒロを立川流落語会に出演させたり、折に触れてアドバイスをするなど後ろ盾となる。

「こんなことも言われました。『芸人というのは、お客が言いたくても言えないことを代弁してくれる存在なんだ。おまえはそれをやっている。だから俺はおまえを芸人として認める』と。それからライブで好きなことを言えるようになりました。今の僕があるのは家元のおかげです」

 ヒロは目を潤ませた。(つづく)

(聞き手・吉川潮)

▽まつもと・ひろ 1952年、鹿児島県出身。鹿児島実業高校、法政大を卒業後、パントマイマーとなり全国を巡業。その後、コミックバンド「笑パーティー」を結成。85年「お笑いスター誕生!!」で優勝。88年、コント集団「ザ・ニュースペーパー」の結成に参加。ニュースに合わせて即興でパントマイムをつける「マイムニュース」や歴代総理大臣の物まねなどが持ちネタ。98年11月に独立し、ピン芸人になる。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋