「百日咳」には抗菌薬が有効だが…初期でなければ効果は限定的
「百日咳」と聞くと、昔の子供の病気というイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし実際には、現在も周期的に流行が繰り返されていて、子供だけでなく大人にも広がる現在進行形の感染症なのです。
今年に入ってから百日咳の報告が驚くほど増えています。国立健康危機管理研究機構の発表によると、2024年の年間報告数は4096件だったのですが、2025年は第1週~第32週(2024年12月30日~2025年8月10日)で報告数はすでに6万件を超えています。ちなみに国立健康危機管理研究機構が現状の方法で記録を取り始めた2018年以降最も多かったのは、2019年の年間1万6850件なので、今年の報告数が飛び抜けて多いことがわかります。
百日咳は、ボルデテラ・パータシスという細菌によって引き起こされる、強い感染力を持つ呼吸器感染症です。特徴的なのは、数週間にわたって続く激しい咳です。この咳が夜間に悪化し、嘔吐や睡眠障害を引き起こすことから患者も家族も疲弊してしまいます。病名の通り、咳が数週間から数カ月続くケースもあり、特に乳児では重症化するリスクがあります。