著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

深作欣二監督作「復活の日」40年ぶりリバイバル上映の意義

公開日: 更新日:

 映画では、流行時には「イタリアかぜ」と命名され、「新型ウイルス」の文字も新聞に踊る。世界中の都市で数百万人規模の死者。東京の死者は、何と1000万人と出る。人類絶滅の危機のさなか、ウイルスは超低温に弱い特性を持つことが分かった。その事実を知った南極大陸の各国の越冬隊の人々が生き延びて、「復活」を目指す。

■評論家と読者の評価が異なった

 思い出すことがある。公開時の本作はそれほど高い評価は得られなかったのである。権威があるキネマ旬報の80年度邦画ベスト・テンでは、第19位に甘んじた。ただ、読者選出では第4位となっており、プロの映画評論家と映画ファンの評価が、くっきりと分かれたのが興味深い。

 映画ジャーナリズムに、大作主義、大宣伝の角川映画への反発が大きかったこともあったと推測する。恥ずかしながら、映画業界に入ったばかりだった筆者も、その流れに逆らうことはできなかった。大ファンだった深作欣二が、こんな大作でいいのかと少々むくれたことを思い出す。当時は、「仁義なき戦い」の余韻が、まだかなり色濃い頃だ。深作さんには悪かったが、東映の実録路線で見せたような、もっと激烈な人間劇を見たい思いのほうが強かった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲