中国映画「薬の神じゃない!」がヒット 現実の政治動かす

公開日: 更新日:

 映画のストーリーもおおむねこの通りで、シュー・ジェン演じる怪しげなインド雑貨店を営む主人公が、患者グループからインド製の安価な薬を求められる展開。最初はひと儲けしてやろうと思っていた男が、理不尽な医療制度に苦しむ患者たちの壮絶な闘病を目の当たりにし、やがて利益度外視でハイリスクな大量密輸に手を染めてゆく姿が涙を誘う。

■持たざる者たちの連帯の物語

「持たざる者たちの連帯の物語がこれほど大衆に愛された背景に、強者の理論たるグローバリズムへの反発があるのは間違いないでしょう。欧米メーカーの強気な薬価に対抗すべく、高い関税をかけていた中国政府でさえも、それが国内薬価の高止まりを招き、患者を救えぬジレンマに悩まされていました。しかし李克強首相は、本作のヒットと世論の高まりを受け、それに“便乗”する形で、ついに抗がん剤の関税ゼロを打ち出すなど薬価下げ政策に踏み切りました。おかげで、中国のがん患者の生存率は2倍以上に改善されたということです」(前田氏)

 映画の影響力が、現実の政治を動かしたのは中国ではほとんど過去に例がないという。いまだに厳しい脚本検閲制度が残る中、それをかいくぐった社会派ドラマのレアな成功例。さて、日本では……。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  3. 3

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  4. 4

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  5. 5

    (5)「名古屋-品川」開通は2040年代半ば…「大阪延伸」は今世紀絶望

  1. 6

    「好感度ギャップ」がアダとなった永野芽郁、国分太一、チョコプラ松尾…“いい人”ほど何かを起こした時は激しく燃え上がる

  2. 7

    衆院定数削減の効果はせいぜい50億円…「そんなことより」自民党の内部留保210億円の衝撃!

  3. 8

    『サン!シャイン』終了は佐々木恭子アナにも責任が…フジ騒動で株を上げた大ベテランが“不評”のワケ

  4. 9

    ウエルシアとツルハが経営統合…親会社イオンの狙いは“グローバルドラッグチェーン”の実現か?

  5. 10

    今井達也の希望をクリアするメジャー5球団の名前は…大谷ドジャースは真っ先に“対象外"