細田昌志
著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年岡山市生まれ。鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。著書に「坂本龍馬はいなかった」(彩図社)、「ミュージシャンはなぜ糟糠の妻を捨てるのか? 」(イースト新書)、「沢村忠に真空を飛ばせた男―昭和のプロモーター・野口修 評伝―」(新潮社)がある。メールマガジン「水道橋博士のメルマ旬報」に執筆中。

銀座の高級クラブ「姫」のマダム・山口洋子の“多面多才”

公開日: 更新日:

 1980~90年代にかけてリーグ優勝13回、日本一8回と黄金時代を迎えたプロ野球西武ライオンズ。所沢の西武球場(現・メットライフドーム)で日本一を決めると、選手やスタッフはまず恒例のビールかけがプリンスホテルで盛大に行われた。その後、2次会に繰り出す。行き先は銀座である。エースの東尾修を団長に、田淵幸一、山崎裕之、大田卓司、永射保、松沼兄弟……。主だった面々が高級クラブに到着すると、ライオンズの法被を着たママがホステスを揃え、準備万端整えて出迎えてくれるのだ。

「いい? 今夜は倒れたら負けのデスマッチだからね!」

 ママの号令で狂宴は始まる。本来この店は午前1時閉店なのだが、ライオンズが日本一になった日は特別に貸し切り、朝まで……昼すぎまで飲み明かす年もあった。当然、ママも一緒に飲むかというと、そうではない。ママが飲んでいるのは炭酸水である。実は下戸なのだ。酔って騒いでいるふりをしながら、実は店内の様子を注視し、ポーターに何くれとなく指示を出している。彼女こそ銀座のクラブ「姫」のオーナーマダム・山口洋子である。「西武ライオンズ私設応援団長」を自任する彼女は、ライオンズが栄冠を手にするたびに、その姿をメディアにさらけ出していた。

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