著者のコラム一覧
SALLiA歌手、音楽家、仏像オタク二スト、ライター

歌って作って踊るスタイルで話題を呼び、「イデア」でUSEN 1位を獲得。2018年より仏像オタクニストの活動を始め、初著「生きるのが苦しいなら」は紀伊國屋総合ランキング3位を獲得。近著に「アラサー女子、悟りのススメ。」(オークラ出版)がある。

京アニ事件想起の漫画「ルックバック」が話題 クリエイティブの力を奪う配慮は必要か

公開日: 更新日:

■クリエイティブの力を奪いかねない配慮

 確かに統合失調症の特徴が描かれているようにも受け取れ、統合失調症を抱えている方々の中には、複雑な気持ちを抱いた人もいたのかもしれない。実際、今作に対し、統合失調症患者を名乗る人から「人を殺す可能性がある存在として描かれるのはつらい」という声が上がったそうだ。ただ、正直「人を殺す可能性」なら誰しもに存在している。

 感受する側は自分は犯罪など犯すわけがないと無意識に思い、思わず被害者側の気持ちに立とうとしてしまうが、自分が何かのきっかけで心が壊れ、殺す立場になってしまったら……という意識を持つことが、あのような痛ましい事件をもう2度と起こさないために大切なことなのかもしれないと今作を読んで改めて実感した。

 一人の漫画家が人生をかけて書き上げた今作は、紛れもなくこの先の素晴らしいクリエイティブを生み出す影響力のある作品であったのだ。

 だからこそ、批判を覚悟であえて問いたい。クリエイティブの力を奪う、今回の配慮は本当に必要だったのだろうか?

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋