五木ひろしの光と影<26>「ナベプロ帝国」支配者・渡辺晋はなぜ賞レースに消極的だったのか
表向きはともかくとして、ナベプロは必ずしも一枚岩だったとは言い難い状況にあった。それは疑いようがない。普段は沈静化していた対立構造も、ひとたび賞レースともなると、レコード会社まで巻き込んで一気に表面化したからだ。
あるとき野口修は、懇意にしていたナベプロのマネジャーにこう言われたという。
「いいかい、野口さん、安心しな。今年は絶対に五木ひろしに大賞を取らせるから。俺も協力する。約束する。その代わり、別の年には俺に必ず協力してくれ」=つづく