フジテレビのプロ野球“軽視”また露呈…ナイター開催中に「ジャンクSPORTS」でプロ野球OB特集放送の違和感
なぜプロ野球と裏被りする時間帯に放送するのか?
フジテレビは昨年、日本シリーズの裏でワールドシリーズのダイジェストを放送。ドジャース・大谷翔平選手の人気にあやかった。この行為に対し、NPBは「信頼関係が著しく毀損された」として、日本シリーズの取材パスを回収。今年6月、公正取引委員会はこの行動などを問題視し、NPBに再発防止を求める警告を出した。
「NPBがやり過ぎだったことは間違いない。ただ、今のプロ野球が開催されている時間帯に、『昔の野球は面白かった』的な番組の放送は、野球への愛を感じられない。制作陣ではなく、フジの編成部に違和感を覚えますね。なぜ、裏かぶりする時間帯に番組を配置したのか。自分たちが視聴率を取れれば、なんでもいいという考え方に映ってしまう。そんな気遣いのなさが積み重なって、昨年NPBを怒らせたのでは」(前出のテレビ局関係者)
他局はどうなのか。テレビ朝日は8月2日、レギュラー番組「THE世代感」の特別編として「夏の高校野球 歴史的大逆転 ベスト10」をゴールデンタイムにオンエアした。同じ時間帯にプロ野球3試合がナイターで開催され、BSやCSで放送されている。
「高校野球とプロ野球は別枠ですからね。逆に、NHKが高校野球を中継している時間帯に、この番組は放送しないでしょう。今年の高校野球を盛り上げようという観点で、開幕前にオンエアしている。フジとは心意気が全く違う。日本テレビやTBSはプロ野球選手を招いた特番をゴールデンタイムで放送する時もありますけど、基本的にオフシーズンですからね。NHKは昨年、BSで『プロ野球誕生90年白球プレーバック! あなたが選ぶ名場面』という番組をゴールデンタイムに放送しました。ただ、両リーグのクライマックスシリーズが始まる前日でした。今までの歴史を振り返った上で、明日からのポストシーズンを楽しもうという配慮を感じます」(前出のテレビ局関係者)
今年、セ・リーグは阪神が首位を独走。パ・リーグはソフトバンクと日本ハムのデッドヒートが繰り広げられている。前出の民放関係者は「フジは日本シリーズの放映権を取りたいはず」と語る。
「新庄剛志監督の日本ハムが阪神と対戦するとなれば、視聴率は高くなるでしょう。阪神がオリックスを倒して日本一になった一昨年、フジテレビは1戦目と7戦目を中継し、関東地区の世帯は7.3%と18.1%、関西地区の世帯は21.8%と38.1%でした。今、フジのゴールデン、プライムタイムで世帯7%以上取れる番組はなかなか出てこない。局としては、日本シリーズの中継権をどうしても欲しい。そのために NPBにおべっかを使う必要はないですけど、編成が残念でした。『ジャンクSPORTS』自体は面白かっただけに、なおさらです。仮にナイターのない月曜日に放送すれば、視聴率はもっと上がったかもしれません」
今回の出来事は、日本シリーズの放映権に影響を与えるのか。※視聴率はいずれもビデオリサーチ調べ、関東地区。
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フジテレビは筋違いのNPBへの意趣返しのつもりかもしれないが、さらに問題がこじれかねない番組編成ともいえる。関連記事【もっと読む】「NPBは取り上げていただく立場なのに筋違い」と専門家…フジテレビ取材パス没収騒動の波紋…では、問題の深層に迫っている。


















