【月の犬】子供を犠牲にするヤクザ社会、男女3人の破滅
やはりヤクザというのは醜い
夜の街の風景を中心にしたダークな色調、極端にセリフの少ない虚無的な雰囲気。この映画はストーリーを追うよりも、ムードを味わう作品といっていい。
ただ、そうした中でも東島は幼い将吾の異変に気づく。将吾は日の当たらない部屋に隔離され、インシュリン注射を打たれている。食事はレトルト食品だ。さらに体には傷跡がくっきり見える。反社会勢力は幼児までも食い物にするのか……。
ヤクザがいかに醜い生き物かを垣間見せるストーリーだが、その主軸はやはりヤクザの世界に生きる者と生きていた者の精神的な迷いだ。南は東島に自分と同じ匂いをかぐ。ゆえに運命が皮肉に作用。同類の者が敵対しなければならないという宿命に帰結する。
黒谷演じる美人ママの沙織もヤクザ組織の一員だ。彼女も犯罪的行為に手を貸している。静謐ともいえる物語進行の中に、三人三様のアウトローの破滅が展開。何度も言うが、やはりヤクザは醜い。ラストシーンがそのことを象徴している。
ちなみに「月の犬」とは将吾が夜空を見上げてつぶやく言葉だ。月にはウサギがいるはずだが、彼の目には犬しか見えなかった。なぜなのか。それを考えながら鑑賞するのも一興だろう。(配給=渋谷プロダクション)
(文=森田健司)



















