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大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

映画「火口のふたり」セックスへの貪欲さと予測不能の展開

公開日: 更新日:

 18歳以上の観客が見られる〈R18+〉指定の「火口のふたり」がヒットしている。柄本佑瀧内公美が主演だ。というより、出演者はこの2人だけである。かつて付き合っていたいとこが、再び関係を持つ。その数日間の話である。

 全国で20館に満たない小マーケットながら、不思議なヒットだといえる。年配者が多いが、若いカップルも結構いたのには驚いた。SNSなど口コミで広がる類いの作品ではない。何紙かの新聞が好意的な評を掲載したので、それが功を奏したのかとも思う。

 中身自体のヒット要因としては、2つのことを考えた。話の面白さと大胆極まるセックス描写だ。結婚式が間近に迫った直子(瀧内)は、つかの間のアバンチュールの意味もあり、賢治(柄本)を誘う。別れていたとはいえ、好きな感情が継続しているようで、その感情を肉体で確かめたいこともあっただろう。

 性欲に火をつけられた賢治は、直子を離さなくなる。彼女にとっては誤算だったが、そのあたりの展開が先の読めないサスペンスフルなタッチも呼び起こして面白い。話の道筋の根底に、賢治だけではない直子の貪欲な性欲も渦巻いている。話の妙と2人の性欲が混じり合い、それは大胆極まるセックス描写へとつながっていく。

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