【日本前衛派の開拓者】「異端」「破壊」「生と死」「緊縛」…天才たちが解き明かす日本人の本質
先の戦争は前衛芸術誕生の起爆剤でもあった
メガホンを取ったアメリー・ラヴァレック監督は語る。
「彼ら(アーチストたち)はアウトサイダーであり、既成の価値観に従わない人たちでした。誰かに許可をもらうのを待つことを拒みました。ジャンルの境界を越え、ルールを破り、自分たち自身の世界を創ったのです。何十年も経った今でも、彼らの作品は、野性的で、奇妙で、挑発的で、そして完全に生きているように感じられます」
カメラを向けられた芸術家たちは「60年代」「70年代」の熱いパワーに言及する。そのころ筆者はまだ子供だったが、ベトナム反戦やヒッピー文化、東大抗争(68~69年)、映画「イージーライダー」(69年)などを思い出す。まさに「若者の時代」だった。
「すべては戦争から始まった」という宣伝コピーを読んで映画「仁義なき戦い」(73年)が脳裏にかすめた。この映画のオープニングナレーションは「敗戦後、既に一年。戦争という大きな暴力こそ消え去ったが、秩序を失った国土には新しい暴力が渦巻き──」。あの愚かな戦争はヤクザの暴走を生んだが、その一方で前衛芸術誕生の起爆剤でもあったわけだ。
細江英公が三島由紀夫を全裸にした「薔薇刑」の秘話、アラーキーの緊縛へのこだわり、寺山修司の覗き趣味など、タブーの世界が赤裸々に描写される。戦前から敗戦、高度経済成長と、日本人の精神性の変化を知るための貴重な歴史資料である。(配給=オンリー・ハーツ)
(文=森田健司)



















