(13)「がん」は夜に成長するのか? 体内時計とがん細胞の意外な関係
昼間に活動し、夜は眠る。人間の体には、約24時間周期のリズムが備わっている。では、がん細胞もこのリズムに従い、夜になると活発に増殖するのだろうか。
結論からいえば、がんが夜間に一律に成長しやすくなるという確かな証拠はない。ただし、体内時計は細胞の増殖やDNAの修復、免疫の働きなどに関係しており、がんの発生や進展、治療効果にも影響する可能性が研究されている。体内時計の中枢は、脳の視床下部にある視交叉上核だ。網膜が受け取った光の情報をもとに時刻を調整し、神経やホルモンなどを介して全身のリズムを整える。一方、肝臓や腸、肺などの臓器や個々の細胞にも「末梢時計」がある。これらが連動することで、睡眠や体温、ホルモン分泌、代謝などが時間帯に応じて変化する。
細胞が増殖するタイミングも、組織によって異なる。過去のヒトを対象とした研究では、直腸粘膜のDNA合成に関係する指標は朝に高まり、皮膚では細胞周期の段階によって夕方から夜にかけて高まる指標が報告されている。ただし、これは特定の組織や細胞活動を調べた結果であり、体全体の細胞が同じ時刻に増殖することを意味しない。まして、がん細胞が夜に一斉に増える証拠ではない。


















