萩本欽一〈60〉細川たかし「北酒場」誕生の裏に因縁の有名作曲家…「一切知らなかった」仰天の巡り合わせ
作家・増田俊也氏による連載、各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。待望の第2弾は、「視聴率100%男」として昭和のテレビ界を席巻したコメディアンの萩本欽一氏です。
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増田「『北酒場』にもう1つ隠れた運がある?」
萩本「そう。『スター誕生!』の審査員に中村泰士*さんっていたでしょう」
増田「はい」
※中村泰士(なかむらたいじ):作詞家、作曲家。1939年奈良県生まれ。歌手として活動した後、作詞・作曲家に転身。細川たかしの「北酒場」、ちあきなおみの「喝采」など数多くのヒット曲を手がけた。「喝采」と「北酒場」はともに日本レコード大賞を受賞。テレビのオーディション番組『スター誕生!』では審査員を務め、個性的な語り口でも親しまれた。2020年死去。
萩本「俺、中村さんとはほとんど口を利いたことなかったの」
増田「同じ番組に出ていたのに?」
萩本「そう。もともと『スター誕生!』の審査員と俺の間には、いろいろあったみたいなの。『萩本を辞めさせるか、俺たちが辞めるか』みたいな話まであったらしいんだけど、俺、その話を知らなかった」
増田「萩本さん自身は知らずに司会を続けていた」
萩本「そう。俺は一生懸命番組当てて、よかったなと思ってやってただけ。それであるときハワイ公演があったの。帰りの飛行機で、中村泰士さんが『欽ちゃん、欽ちゃん』って話しかけてきた」
増田「それまでほとんど話したことのない中村さんが」
萩本「そう。『隣、誰かいる?』って。マネジャーは後ろにいるから、『いないよ』って言ったら、『隣座っていいかな』って。それで座ったら、中村さんが自分の歌の話をずーっとするわけ」
増田「作曲家としての話を」
萩本「そう。それで『最近さっぱり売れない』って。久しぶりに曲を作ったから、なんか欽ちゃんに委ねたい、みたいな話をするの。俺も『ああ、なるほど。そういうことだったら』って言って別れたら…」
増田「その後、本当に曲が送られてきた」
萩本「来たんです。でもね、俺、やらなかったの」
増田「なぜですか?」


















