TOE LIBRARY PARC(浅草)木の香りに包まれた店内に雑誌、店主の蔵書、新刊本から、器、古着まで
浅草ビューホテルの裏手にある、昭和なたたずまいがすてきな2階建てのビル。一歩入ると、その「すてき度」がはね上がる。木の香りに包まれ、ビンテージ家具の数々。閲覧も購入もOKという歴代の雑誌がずらり。両脇に本。わー、理想のブックカフェだ、と思った。
「建坪約50坪。築60年ほどで木造。昔は1階が美容院と不動産屋、2階はアパートだったそうです。ひと目惚れしました」と、店主の西尾嘉朗さん(43)。ほぼセルフリノベし、2024年8月にオープンした。
実は、浅草寺北側で、2020年からやはりビンテージ家具を置く4室のホテル「TOE LIBRARY」も営んでいると聞き、「資産家の息子さん?」と思わず。「いえ。(自分で)借金して」。新卒で出版取次会社に6年勤め、住宅情報の広告会社へ転職。当初は副業として、ホテルは一室から始めたそう。
「Tales&Original Experiences(物語と原体験)。なのでTOE」
──きっかけは?
「いろいろと悩んでいた30代前半に、パリ・セーヌ河畔の『シェークスピア&カンパニー』へ行ったんです」
1階が新刊書店、2階が図書館のようになっていて、隣がカフェ。いい意味でカオス。「僕がやりたかったのはこういうことかも」と思ったそうだ。
「その感覚を言語化すると、Tales&Original Experiences(物語と原体験)。なのでTOEです」
ホテルでは、宿泊客が「楽しかった」などとメッセージを残してくれた。
「宿泊者に限らず、そういう手紙を書くなど気持ちの表現をできるような場を開きたくて……」
「表現の公園」が裏テーマのブックカフェ
さて、棚。旅の雑誌「TRANSIT」「BRUTUS」のバックナンバー、展覧会の図録、「ぐりとぐら」……。京都の学生時代に買ったという「Meets Regional」なども。
「雑誌って、時代の空気感が詰まっていますよね」
2階には、西尾さんが学生時代にハマったというつげ義春のシリーズ、松本大洋「ピンポン」、志賀直哉「暗夜行路」があるわ、線引き読書に励んだ広告クリエーター、佐藤雅彦の本があるわ。そうした西尾さんの蔵書に交じって、「つづくで起こったこと『ミナ ペルホネン/皆川明つづく』展 93日間の記録」「ときをためる暮らし」など新刊本、器、古着も。店名のPARCはフランス語で「公園」だから、「表現の公園」が裏テーマなのだ。合計25席。
◆台東区松が谷3-3-14/つくばエクスプレス浅草駅から徒歩8分、東京メトロ銀座線田原町駅から徒歩12分/午前11~午後7時(土日祝は午前10時~、水木金は午後9時まで)、無休
ウチの推し本
「ニューヨークで考え中①」 近藤聡乃著
「移住したニューヨークでの日々をつづったエッセーの1巻。何げない描写の中に文学的な味わいがあります。僕が著者を好きになったのは、漫画家を夢見るうさぎが主人公の『うさぎのヨシオ』がきっかけでした。何者でもないのに何かを目指すヨシオくんに共感。次に読んだのがこの作品で、海外が一気に身近になりました。個展で本作の絵画を購入。ホテルに飾り、毎日元気をもらっています」
(亜紀書房刊 1430円)
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