著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

福島の甲状腺がん増は原発事故の影響か

公開日: 更新日:

「福島県の甲状腺がん発症率は日本の年間平均発症率よりも20~50倍高い」という衝撃的な論文が国際環境疫学会誌の2015年10月5日付に掲載されています。

 ご存じのように、4年前の東日本大震災による影響で、福島第1原子力発電所で放射性物質の放出を伴う事故が発生。福島県では、その後、18歳以下の住民を対象に甲状腺がんのスクリーニング(検診)が実施されています。

 論文はそのデータから得られた甲状腺がん発症率と、日本の年間平均発症率を比較したものです。この結果を見て、多くの方は原発事故による放射線で、子供の甲状腺がんが20~50倍も増えると衝撃を受けるかもしれません。

 しかし、「この論文だけで明確な結論を得ることは難しい」と専門家の多くは感じていると思います。

 なぜならば、スクリーニングをすればするほど、甲状腺がんが見つかるからです。

 実際、甲状腺がんの検診が熱心に行われてきた韓国では、その罹患率が、それほど検診が行われていない英国の約15倍といわれており、「見つけなくても問題ない、治療の必要のない甲状腺がんを過剰に診断しているのではないか」などと指摘されています。

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