“生物学的製剤”続々登場で「喘息治療」はガラリと変わる
季節の変わり目に増える「気管支喘息」(以下、喘息)の発作による死亡者は減少しているが、「適切な治療が徹底されればもっと減る」と専門家は指摘する。また、今後は喘息の治療がより大きく変わるだろうという指摘もある。昭和大学病院呼吸器・アレルギー内科・相良博典教授に聞いた。
喘息は、喉がゼーゼーヒューヒューする喘鳴や咳、痰、息苦しさなどの症状をきたす病気だ。アレルギーで発症する「アトピー型」と、アレルギーが関与しない「非アトピー型」がある。
喘息治療は、まず1990年代に大きく変化した。従来の考えは「喘息の気道は敏感で狭くなっているので、その気道を拡張させる気管支拡張薬が中心の治療」だった。それが「狭くなる気道は慢性的に炎症が起こって過敏性が増す。だから、原因となる炎症を抑える治療を中心に行い、放置されていた結果で起こっていた気道の過敏性を抑える」と変わったのだ。
「喘息患者は症状がなくても炎症があり、気道を傷つけています。そこで、炎症を抑える『吸入ステロイド』をはじめとする長期管理薬を日頃から使用し、炎症を緩和して発作を起こらなくする。発作が起こった時には、『短時間作用型β2刺激薬』を使います。長期管理薬と発作治療薬を使い分けるようになり、喘息発作による死亡者が激減しました」