著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

B型はがんになりにくい 1万8000人の中国人を25年追跡調査

公開日: 更新日:

 血液型の分類にはさまざまなものがありますが、一般的には「ABO式」が有名でしょう。血液型と関連性があるものとして人の性格や体質などが挙げられますが、関連性には否定的な指摘も多く、明確なことはよく分かっていません。

 そんな中、ABO式血液型とがんの発症リスクを検討した観察研究の論文が「プロス ワン」という科学誌に2017年9月7日付で掲載されました。たしかに、ABO式の血液型は遺伝的な特性ともいえるので、遺伝と関連性のあるがんの発症頻度と何らかの関係性があると考えても違和感はありません。

 この研究は1万8244人の中国人男性を25年間にわたり追跡調査し、A型と比較した各血液型のがん発症リスクを検討しています。解析にあたっては、結果に影響しうる年齢、飲酒・喫煙状況などの因子で統計学的に補正を行っています。

 研究の結果、がん全体の発症率はA型と比べてB型では9%統計的にも有意に減少していました。しかしながら、AB型、O型ではそれぞれ明確な差は示されませんでした。

 また、がんの種類別に発症率を検討したところ、A型と比べて、B型では胃がんが25%、大腸がんが22%、膀胱がんが36%減少しました。AB型では大腸がんが32%減少しましたが、肝がんは45%増加するという結果でした。O型では全てのがんについてA型と明確な差を認めませんでした。B型では特に消化器系のがんや膀胱がんの発症リスクが低い可能性が示されています。

 とはいえ、がんの発症にはさまざまな因子が関わっているので、本研究結果が必ずしも因果関係を示しているわけではありません。そのメカニズムを含め、今後の研究報告に注目したいと思います。

【連載】役に立つオモシロ医学論文

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  2. 2

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か

  5. 5

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  1. 6

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  2. 7

    三山凌輝に「1億円結婚詐欺」疑惑…SKY-HIの対応は? お手本は「純烈」メンバーの不祥事案件

  3. 8

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  4. 9

    佐藤健と「私の夫と結婚して」W主演で小芝風花を心配するSNS…永野芽郁のW不倫騒動で“共演者キラー”ぶり再注目

  5. 10

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意