著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

【解熱鎮痛消炎剤】「女性のほうが痛みに強い」は本当か

公開日: 更新日:

 よく世間では「女性のほうが痛みに強い」といわれています。女性の体は出産の痛みに耐えられるようになっているからだそうです。もし本当だとすると、解熱鎮痛消炎剤の処方量にも反映されているはずです。

 そこで性別・年齢別の処方量(1人当たり・1年間)を計算したところ、〈表〉のようになりました。男女とも年齢が上がるにつれ、処方量が増えていきますが、同じ年齢では、女性の処方量が、男性よりも多くなっています。 40代前半では1・35倍、年齢とともにその差が拡大し、80代前半ではなんと1・57倍もの開きがあります。女性のほうが、痛みの症状が多いということでしょうか。

 実は、痛みに性差があるという医学的根拠はありません。ただ多くの調査から、女性は痛みを我慢せず、積極的に通院して、クスリを処方してもらう傾向が強いことが分かっています。一方、男性は痛みを我慢する傾向が強く、医者に行きたがらないことも分かっています。その違いが、処方量の差として、表れているのです。

 処方薬だけでなく、市販の鎮痛剤も、買うのは主に女性です。テレビCMや新聞広告などは、すべて女性向けに作られています。オジサン俳優が「サラリーマン諸君、頭痛に○○、我慢せずに飲もう」と語っても、かなり違和感があるでしょう。男性向けは、せいぜい二日酔いのクスリまで。しかし痛みを抱えている人は大勢いるはずで、ドラッグストアなどで、こっそりと鎮痛剤を買って、飲んでいるのかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁