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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

適量は日本酒1合まで 飲酒による大腸がんリスクを知る

公開日: 更新日:

 年末年始に飲み過ぎた人は多いでしょう。私もそのひとりで、今回は飲酒とがんについてお話しします。

 米臨床腫瘍学会のがん予防委員会は先日、初めて飲酒の危険性を公式に認め、「飲酒はがんの危険性を高める可能性がある」と声明を発表しました。食道がん咽頭がん肝臓がん大腸がん乳がんなどのリスクが高まるとしています。

 飲酒が百薬の長となる適量はせいぜい日本酒換算で1合まで。たとえば、日本人男性は毎日、日本酒を2合飲むと、飲まない人に比べて大腸がんのリスクが2倍に上昇。4合以上で3倍です。がん全体のリスクは、毎日3合で1・6倍です。

 日本酒1合と同じくらいのアルコール含有量は、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2杯、焼酎ロックなら半分ほど、ウイスキーならダブルに相当します。

 会社帰りに、中瓶を1本飲んでから焼酎に切り替えてロックを2杯飲むと、日本酒5合分。「オレは適量だから」と節酒しているつもりでも、意外と“危険水域”を超えているかもしれません。男性のがん患者のうち13%は、毎日2合以上の飲酒が影響しているとされます。

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