<13>若い人のがんはたった一つの遺伝子変異で発症する

公開日: 更新日:

 融合遺伝子による発がんの例には、慢性骨髄性白血病(CML)がある。BCR―ABLと呼ばれる融合遺伝子が生まれることで、増殖シグナルが出しっぱなしになり、白血病細胞が異常に増殖し、白血病を発症する。

「この病気は数年間はあまり自覚症状がない慢性期があり、その後、急性白血病と同じ状態に進展する病気です。この病気の患者さんの95%以上でフィラデルフィア染色体という異常な染色体が見つかります。発症する原因は、この染色体上にあるBCR―ABL遺伝子です」(一石教授)

 ヒトの染色体は23対46本ある。フィラデルフィア染色体は9番目と22番目の染色体が途中から切れて入れ替わってつながる相互転座でできている。

「2つの染色体がつながるとき、それぞれの切り口にあるBCR遺伝子とABL遺伝子が融合してBCR―ABL遺伝子が生まれます。この遺伝子によってつくられるBCR―ABLタンパクは、白血病細胞を増やす指令を出し続けるため、白血病細胞が増え続けるのです」(一石教授)

 たったひとつの遺伝子変異でがんになるということは、それだけ強力な発がん要因であるということ。がんは年寄りに多い病気といわれるが、若い人でもがんになるのは、ドライバー遺伝子1個の変異でがんになるからでもある。また、「がんは遺伝子の病気」といわれるが、実は染色体の異常でもがんになるのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃