リスクを下げる働きも「お酒」と「脳卒中」の不思議な関係

公開日: 更新日:

 日本でその報告をしているのが多目的コホート研究「JPHC Study」だ。長期にわたる観察型の疫学研究であるこの研究は、全国12地域、14万人強を対象にしたもので、「飲酒」「食事」「喫煙」「運動」などの生活習慣が病気や生活の質にどのように影響するかを調べている。それによると、出血性脳梗塞の発症率と飲酒量との関係は右肩上がりの直線的な正の相関関係にあるものの、虚血性脳卒中の発症率と飲酒量の関係はJカーブ現象が見られた。お酒を飲まない人に比べて適度にお酒を飲んでいる人は虚血性脳卒中の発症率は低く、お酒を大量に飲んでいる人はその発症率は高かった。

「時折お酒を飲む人に比べて、エタノール換算で週に450グラム以上のお酒を飲む人はすべての脳卒中の発症率が68%増加していることが報告されました。特にくも膜下出血の発症率が著しく増加したのです。その一方で、週に149グラム以下のお酒を楽しむ人は、ほぼお酒を飲まない人に比べて虚血性脳卒中の発症率が39%も低く、ラクナ梗塞でより顕著だったのです」

 その理由として適度な飲酒は、アルコールの作用で善玉コレステロールであるHDLコレステロールの血中濃度が上がること、血栓形成を促すタンパク質であるフィブリノゲンの値を低くして血液が固まりにくくなることなどが挙げられている。また、適度な飲酒は、血圧を一時的に下げる働きがある。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  2. 2

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  3. 3

    国分太一が無期限活動休止へ…理由は重大コンプラ違反か? TV各局に全番組降板申し入れ、株式会社TOKIO解雇も

  4. 4

    吉沢亮「国宝」が絶好調! “泥酔トラブル”も納得な唯一無二の熱演にやまぬ絶賛

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題か...大谷の“献身投手復帰”で立場なし

  1. 6

    中学受験で慶応普通部に合格した「マドラス」御曹司・岩田剛典がパフォーマーの道に進むまで

  2. 7

    進次郎農相の化けの皮ズルズルはがれる…“コンバイン発言”で大炎上、これじゃあ7月参院選まで人気持たず

  3. 8

    砂川リチャード抱える巨人のジレンマ…“どうしても”の出血トレードが首絞める

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  5. 10

    「育成」頭打ちの巨人と若手台頭の日本ハムには彼我の差が…評論家・山崎裕之氏がバッサリ