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青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

「人生の目的」と長寿にはどんな関係が? 米国で研究論文

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「生きがい」や「人生の目的」を持つことは、健康に良い影響を与える可能性があります。実際、「趣味や生きがいがある人は健康寿命が長い」という報告や、目的意識を持っている人では健康診断の受診頻度が高く、死亡リスクが低いことも報告されています。

 米国医師会誌のオープンアクセスジャーナルに、人生の目的と死亡リスクの関連性を検討した最新の研究論文が2019年5月3日付で掲載されました。

 この研究では、50歳以上の米国人6985人(女性57.5%、平均68.6歳)が対象となっています。人生における目的を持っているかどうかについて、アンケート調査により1点(強くそう思わない)から6点(強くそう思う)で評価し、点数に応じて被験者を、「1.00~2.99点」「3.00~3.99点」「4.00~4.99点」「5.00~5.99点」「6.00点」の5つのグループに分類しています。結果に影響を与えうる年齢、性別、婚姻状況、喫煙状況などの因子について統計的に補正を行い、各グループでの死亡リスクが比較検討されました。

 解析の結果、死亡のリスクは、目的を強く持っていると回答した「6点」のグループと比較して、「4~4.99点」のグループで67%、「3~3.99点」のグループで72%、「1~2.99点」のグループで2.43倍、統計的にも有意に高いことが示されました。

 目的や生きがいを持つことは健康によい生活習慣をする傾向にあり、それが結果として健康寿命の延伸をもたらしている可能性は高いかもしれません。これからの医療は、医学的なケアのみならず、生きがいや目的を持つような動機づけを行うことも視野に入れる必要があるかもしれません。

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