著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

引きこもりにも関係が? X染色体絡みの病気は隔世遺伝する

公開日: 更新日:

 男性はX染色体を1本しか持っていないため、そこに載っているどれかの遺伝子が壊れていると、深刻な病気になることがあります。

 前にお話しした血友病や、男児の筋力低下を引き起こす「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」が有名です。また先天性色覚異常も、X染色体上の遺伝子が原因であることが知られています。

 これらの病気や異常は男性に多く、女性ではほとんど見られません。

 たとえば日本人男性の約5%(20人に1人)が先天性色覚異常といわれていますが、女性では500人に1人です。

 X染色体に起因する病気は、「X連鎖劣性遺伝」と呼ばれる特徴的な伝わり方をします。それは次のようなメカニズムです。

 父親がそれらの病気を持っていても、その子(男児)には病気は伝わりません。父親のX染色体を受け継がないからです。一方、女児には父親の染色体が受け継がれます。ただ母親のX染色体も受け継ぐので、そちらの遺伝子が正常なら、発病することはありません。この状態を「保因者」と呼んでいます。

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