「いつの間にか骨折…」が引き起こす脳梗塞に要注意

公開日: 更新日:

 Aさんの場合は折れた骨の端が神経を圧迫してしびれが出たが、なかには「脂肪塞栓症候群」といって、傷ついた脊椎から脂肪滴が遊離して血液中に入り込み、全身の臓器の循環障害を生じ、脳梗塞の原因である「脳塞栓」や、肺動脈の詰まる「肺塞栓」を起こすこともある。

「大腿骨骨折などによく見られますが、ごくまれに椎体骨折でも起きることがあります。軽症なら無症状で経過しますが、皮膚や粘膜での点状出血や呼吸器障害、意識障害を起こすことがあります。短時間で意識障害、播種性血管内凝固症候群、多臓器不全をきたして1~2日で死亡する『電撃型』では、生前に骨折が原因の脂肪塞栓症候群だと診断することは難しいといわれています」

 椎体骨折では痛みが出ず、骨折自体に気づかない人も少なくない。これが「いつの間にか骨折」で注意が必要だ。

 つぶれた椎体を放っておくと知らず知らずのうちに別の椎体に負担がかかり、2個、3個と骨折連鎖が起こるからだ。1つの椎体骨折が起きると1年以内に別の椎体骨折が起こるとの研究もある。

「すると背中が丸くなり、姿勢が前かがみになって胸が圧迫されて肺活量や食欲が低下する。加えて、骨折連鎖により慢性的な痛みが出てくると抑うつや睡眠障害も起こります。その結果、日常の活動量が減り、さらに骨が弱くなり、筋肉も落ちて体を支えられなくなって最終的には『寝たきり』になるリスクが高まります」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」