著者のコラム一覧
小堀鷗一郎医師

1938年、東京生まれ。東大医学部卒。東大医学部付属病院第1外科を経て国立国際医療センターに勤務し、同病院長を最後に65歳で定年退職。埼玉県新座市の堀ノ内病院で訪問診療に携わるようになる。母方の祖父は森鴎外。著書に「死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者」(みすず書房)。

自分らしい最期を迎えるために死をイメージする

公開日: 更新日:

「食べる意欲を失って、提供される食事も口にしなくなります。その次は体力の衰えです。ベッドで過ごす時間が長くなり、立てなくなったり、眠ってばかりになったりという状態になります」

 その時点で家族が「つらそうで見ていられない」というのであれば、点滴で水分を補給することもあるという。

「栄養といっても、死の間際になると食物を分解する能力が衰えているので、その人の体には不要なものになっている可能性が高い。それを体に送り込むことになれば、余分な水分でむくみをもたらせたり痰を増加させたりと、かえって害があり、本人を苦しめることになるかもしれません。それでも患者の家族の多くは放っておけないと考えてしまいます。たとえ目の前で起こっていることが自然な死の過程であっても、簡単に受け入れることができない。『ここで治療さえすれば元通りになる』と思って救急車を呼び、積極的な延命治療を望むのです」

 その結果、胃ろうで直接お腹に栄養を入れるようにして、何年も意識がないまま寝たきりで過ごすというケースもある。これは患者やその家族にとって最善の死に方とは限らないだろう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い