著者のコラム一覧
小堀鷗一郎医師

1938年、東京生まれ。東大医学部卒。東大医学部付属病院第1外科を経て国立国際医療センターに勤務し、同病院長を最後に65歳で定年退職。埼玉県新座市の堀ノ内病院で訪問診療に携わるようになる。母方の祖父は森鴎外。著書に「死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者」(みすず書房)。

在宅医療のキーワードは「神父とうんこ」そう話す意味とは

公開日: 更新日:

 訪問診療をする小堀さんにはユニホームがある。神父の祭服にならった立ち襟のシャツだ。

「訪問診療医は家族の闇に踏み込むようなところがあります。連絡しても親の死に目に会いにこないとか、救いようのない世界が広がっている。カトリック信者の私はすぐに気付きました。これは医師というよりも神父の領域だと。それで格好をまねたのです」

 長年外科医として勤務してきた小堀さんにとって、初めて体験する在宅医療は、それほど衝撃的なものだった。

「地域医療・在宅医療に関わるようになって15年目の今でも毎日、新鮮な驚きがあります。例えば訪問するきっかけは、地域の住民から寄せられるゴミ屋敷の苦情だったりします。そこに行政が介入し、医師の診察が必要な高齢者が発見される。それで行政から依頼を受けた我々がゴミまみれの現場を訪れ、診療を始めるのです。そこは想像を絶する世界。まずはノミやシラミを持ち帰らないように気を付けなければならないのです」

 シャツは黄色と決まっている。


「冬はタートルネックを着ることもありますが、それも黄色の“うんこ色”です。部屋で山盛りになっていることもあるし、患者さんに付けられることもある。それでインターネットで安いものを探して着ています。在宅医療は『神父とうんこ』なんです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元フジテレビ長谷川豊アナが“おすぎ上納”告白で実名…佐々木恭子アナは災難か自業自得か

  2. 2

    フジ・メディアHD経営刷新委に吉田真貴子氏の名前…"高級和牛ステーキ接待"で辞職→天下り疑惑の元総務官僚

  3. 3

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  4. 4

    26億円投入のお台場巨大噴水事業が「フジ日枝案件」と露見…小池都知事による激怒と錯乱と珍答弁

  5. 5

    (61)寅さんのおかげで子供4人を大学に入れることができた

  1. 6

    中居氏問題の根底にある「旧ジャニーズ」の大きすぎる存在…フジは“パイプ役”藤島ジュリー景子氏と関係断絶できるのか

  2. 7

    星野監督1年目…周囲から浮いても関係ない「今岡は変わった」と思わせたくてアップから全力だった

  3. 8

    石丸伸二陣営が会見で露呈したグダグダ…都知事選の公選法違反疑惑で事務局長が“新証言”、買収の疑い強まる

  4. 9

    今年のロッテは期待大!“自己チュー” 佐々木朗希が去って《ようやくチームがひとつに》の声

  5. 10

    【新連載】星野監督は講演会でいきなり「おまえはクソ生意気らしいから野村さんと全然あかんかったんやろ!」