著者のコラム一覧
小堀鷗一郎医師

1938年、東京生まれ。東大医学部卒。東大医学部付属病院第1外科を経て国立国際医療センターに勤務し、同病院長を最後に65歳で定年退職。埼玉県新座市の堀ノ内病院で訪問診療に携わるようになる。母方の祖父は森鴎外。著書に「死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者」(みすず書房)。

病院への搬送がプラスに働いた98歳一人暮らしの元女優

公開日: 更新日:

 自宅で最期を迎えようとしている高齢者に対し、病院に搬送して延命の措置を施すかどうかはケース・バイ・ケース。それぞれの望ましい形で人生を終えるためには、本人の意思や状態、家族の思い、そしてタイミングなど、総合的な判断が必要になる。

 かつて女優をしていたという98歳の一人暮らしの患者は、病院への搬送がプラスに働いた。

「初めて自宅を訪問し診療した時は、きれいにお化粧をして、台湾で映画撮影した際に現地の要人から贈られたというチャイナドレスを身にまとって出迎えてくれました。部屋には女優の頃の華やかなブロマイドや写真がいくつも飾られていた。今ではセピア色となった古き良き記憶に囲まれて生きていたのです」

 小堀さんは、本人と遠方に住む弟と話し合い、そのセピア色の世界で最期を迎えることで合意。患者の負担になる延命措置は施さないと決めていた。

 その後はパーキンソン病を患っていたこともあって次第に歩くことが困難になり、転ぶ回数も増えていった。

 食欲は減退し、配食サービスの食事も口にしない。衰弱している様子もうかがえる。最期はそう遠くないだろうと思われた。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波