治療開始から10年超…元プロレスラーの垣原賢人さん語る濾胞性リンパ腫

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垣原賢人さん(元プロレスラー/53歳)=濾胞性リンパ腫

 治療を始めて約10年が経ちましたが、まだ半年に1回は診察を受け、そのたびに先生から「まだ気を抜くな!」と言われます。たぶん死ぬまで気を抜いちゃいけないんでしょうね。

「濾胞性リンパ腫」と告げられたのは、2014年12月末でした。白血球の中のリンパ球ががん化して、血液を通じて腫瘍が全身に転移する悪性リンパ腫の一種です。濾胞性は、進行はゆっくりですが、しつこくて再発率が高い。「ステージ4で完治は見込めない」と聞いたときには、しばらく我を失い、その後ひどく落ち込みました。

 だいぶ前から鼠径部や脇にしこりがあることは自覚していたのです。トレーニングをすれば脇に何か挟まっているような感覚があり、疲れやすさも明白でした。でも忙しさを理由に放置してしまい、仕事が一段落して病院を受診した頃には、しこりはゴルフボール大になっていました。

 当時の自分はプロレスを引退し、ミヤマ仮面としてキャンピングカーの展示会場の一角で子供たちにクワガタの格闘技「クワレス」を間近で見てもらうショーを展開していました。一応、自分はミヤマクワガタという昆虫の化身です(笑)。妻は裏方の音響などをし、娘は司会進行、息子は“クワガタ忍者”に扮し、一緒にショーを盛り上げていました。

 そんな家族一丸となっていた中のまさかのがん告知……。「もうこの活動はできないのか?」と思いました。でも家族が活動を続けてくれて、「帰ってくるのを待っている」と言ってくれたのです。がんばるしかないと思いました。

 翌年1月からさっそく入院生活となり、抗がん剤治療が始まりました。免疫力が極端に落ちる治療なので入院が必須でした。正直、怖かったです。目をつぶったらもう起きられないんじゃないかと不安で眠れない夜が続き、体はみるみる痩せました。2回目以降は通院となり、電車や人混みに緊張しました。だからマスクと手洗いにはコロナ禍以前から神経を使っていました。

 回を重ねるごとに投与後の副作用が激しくなり、予定では全8回でしたが、6回で中止をお願いすることに……。強烈な吐き気と頭痛に見舞われたのです。

 元プロレスラーですから痛みや苦しさには耐えられるのですが、臓器からの悲鳴は別物。細胞の限界を超えた気がして、これ以上は無理だと判断しました。

 その後は分子標的薬の治療を4回行い、抗がん剤から始まった治療は1年半で終了しました。

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