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永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

【60代女性】広島県民が悪玉コレステロール値が高い要因は

公開日: 更新日:

沖縄県だけが飛び抜けているが…

 このシリーズの最後は、60代女性の不健康偏差値だ。表をご覧になれば、1位の沖縄県だけが、とび抜けているのがわかる。60代男性と同様、BMIの偏差値が驚くほど高い(101.0)。BMIが30を超えているひとが、100人中7.8人もいる(全国平均は3.4人)。しかも尿蛋白でもトップ、空腹時血糖値が2位、γ‐GTPも5位という、不健康優等生ぶりを見せつけている。

 しかし2位の香川県から47位の長野県まで、あまり大きな差は見られない(偏差値58.1~40.0)。今回はそのなかで、上位から広島県、愛知県、大阪府を取り上げてみよう。なおレーダーチャートの軸は、昨日までは最大偏差値を100としていたが、見やすくするために、今回は70で切っている。

5位愛知は60代が“優等生”の仲間入り

 4位の広島県は、LDLコレステロールの偏差値が高く(67.2)、BMIが全国平均より若干低い。それ以外は50台でまとまっている。広島県が進めている健康増進計画である「健康広島21」によれば、広島県民は脂質を多く摂取する傾向があるようだ。また運動不足の傾向があり、とくに65歳以上の女性は、あまり歩かない。飲酒に関しても、多量飲酒する女性が、全国平均よりも多い。そうした生活習慣が、偏差値に反映されているのだろう。

 5位の愛知県は、ちょっと意外である。50代は30位、40代は31位という"不健康劣等生"なのに、なぜか60代は"優等生"の仲間入りをしている。血圧と尿蛋白の偏差値が60を超えており、LDLコレステロールの偏差値もやや高めだが、その他の項目は全国平均並みである。

大阪は酒を減らせば総合順位が一気下がるはず

 愛知県は自動車社会だ。広い道路が整備されており、クルマで移動するひとが多い。県が策定している「健康日本21あいち」には、愛知県の女性の1日の歩数が6599歩であると書かれている。つまり歩かないのだ。しかも糖尿病で人工透析の人数が増え続けている。それらのことが、偏差値に反映されているようだ。

 大阪府は8位。LDLコレステロール、γ‐GTP、尿蛋白で偏差値が60を超えている。これは飲酒が影響しているのかもしれない。大阪府は1人当たりのビールや焼酎の消費量が多い。大阪府が策定している「大阪府アルコール健康障がい対策推進計画」によれば、60代女性の10パーセント近くが「生活習慣病のリスクを高める量」を飲んでいる。だがBMIや中性脂肪は低いので、飲酒を改善すれば、総合順位は一気に下がるはずである。

山梨は言うことなし!

 下位からは、45位の山梨県をピックアップしてみた。すべての項目で偏差値50未満、しかもBMI、中性脂肪、尿蛋白は偏差値40未満という、非の打ち所のない不健康劣等県である。なにしろ「健康寿命日本一」という、不健康ランキング的に"不名誉"なタイトルまで獲得しているほどだ。

 山梨県によれば、その理由として、山梨県民は「ボランティア活動や無尽への参加など社会との関わりをもちながら健康に留意した規則正しい食生活を維持している」からだそうだ。しかもさらに健康寿命を延ばそうとして「健やか山梨21(第2次)」を策定し、実施しているのだから、もはや言うべきことはない。このまま不健康偏差値最下位を目指して、頑張っていって欲しい。

【連載】日本全国「不健康偏差値」対決

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