著者のコラム一覧
シェリー めぐみジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家

NY在住33年。のべ2,000人以上のアメリカの若者を取材。 彼らとの対話から得たフレッシュな情報と、長年のアメリカ生活で培った深いインサイトをもとに、変貌する米国社会を伝える。 専門分野はダイバーシティ&人種問題、米国政治、若者文化。 ラジオのレギュラー番組やテレビ出演、紙・ネット媒体への寄稿多数。 アメリカのダイバーシティ事情の講演を通じ、日本における課題についても発信している。 オフィシャルサイト:https://genz-nyc.com

米テキサス州の中絶法施行が全米に衝撃 “中絶難民”発生でも最高裁は差し止めせず

公開日: 更新日:

 今月、テキサス州の人工妊娠中絶を禁止する法律が施行され、全米に衝撃を与えています。

 胎児の心音が探知できた場合の中絶が違法ということから、通称「ハートビート法」と呼ばれるこの法律。妊娠約6週目で、多くの女性はまだ妊娠を自覚できない段階であること、レイプやインセストによる妊娠も含まれることから、事実上の中絶全面禁止と考えられています。

 これまでと違い際立って異常なのは、違反した場合に政府が罰則を与えるのではなく、一般人を起訴し取り締まるルールという点。州民なら誰でも対象で、施術した医師やスタッフ、女性を運んだウーバーの運転手までが訴えられ、訴えた人は成功報酬1万ドル(約110万円)もらえるとしています。これでは、まるで罪人に懸賞金をかけるようなもの。州民と州民を対立させ分断を利用する、まるで恐怖政治だと反発も広がっています。

 この法律の施行直後から、全米2位の巨大州テキサスでは中絶難民が発生。中絶希望の女性のほとんどは近隣州での手術を試みているとみられますが、周囲の保守州での中絶施設はオクラホマ州で6軒、アーカンソー州で4軒、ルイジアナ州でわずか3軒しかありません。そのため予約が困難となっており、望ましい時期よりも遅く手術を受けることになる女性の健康やメンタル面のリスク、出産しか選択肢がなくなり、経済的に一層困窮する低所得者も増えると考えられています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状