著者のコラム一覧
大橋直樹「東京外科クリニック」理事長

日本外科学会認定外科専門医、全日本病院協会認定臨床研修指導医。東京外科クリニックグループでの日帰り手術の件数は2022年4月末日時点で3101件。

脱腸手術は切開ではキズは3~5センチだが腹腔鏡なら3~5ミリ

公開日: 更新日:

 現在、当院でもっとも多く行っている日帰り手術が鼠径ヘルニア(脱腸)です。足の付け根と下腹の間(鼠径部)の筋膜が弱って穴が開き、その穴から腹圧に押された腸が出っ張る病気です。手術の目的は、穴を塞ぐことになります。

 かつては、糸で穴を縫って縛り、閉じる手術法しかありませんでした。しかし、この方法は再発率が高い。そこで現在は、メッシュと呼ばれる網状の医療用合成繊維で穴を塞ぐ「メッシュ法」が主流となっています。入れたメッシュは一生そのままで、取り出すことはありません。

 メッシュ法のネックは、メッシュを広げて敷く十分な面積を確保するために、通常の切開手術では、太ももの付け根部分を3~5センチくらい切開する必要がある点。どうしてもキズとしては大きくなってしまい、もちろん日帰りするにしても苦痛が増えてしまいます。

 では、なぜ私たちが鼠径ヘルニアの手術を日帰りでできているのか? それは、腹腔鏡で手術を行っているからです。

 鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術(TAPP法)では、3~5ミリの穴を3カ所開け、そのうちの1つの穴から腹腔鏡を入れてカメラでお腹の中を映します。このとき、お腹は二酸化炭素のガスを入れて膨らませています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波