著者のコラム一覧
安井謙二整形外科医

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

50歳以上の4分の1が「腱板断裂」 そのうち3分の2は痛みなし

公開日: 更新日:

「腱板断裂」は肩の痛みを生じる代表的な疾患のひとつです。しかし、必ずしも自覚症状を伴うとは限らず、痛みのない腱板断裂もあります。この「無症候性腱板断裂」の存在は、国内外のMRIや超音波などを用いた数々の研究で報告されています。

 本邦での地域検診でも、「50歳以上の一般住民約4分の1に腱板断裂が存在する。しかし、その約3分の2には自覚症状がない」「肩が痛い人の3人に1人、痛かった人の6人に1人、痛くなったことがない人の5人に1人に腱板断裂が存在した」との報告があります。

 また別の研究では「無症候性の肩においても、50歳代では4人に1人、65歳以上ではほぼ半数と高頻度にいわゆる変性断裂が存在する」と報告され、加齢とともに無症候性腱板断裂の頻度は上昇するようです。つまり腱板断裂は、ある程度までは無症状の肩における腱板の「正常な」加齢変化とみなせるのです。

 これは痛みや腕が上がらないなどの症状がないとき、MRIや超音波検査のみで手術適応を決める十分な根拠にはなり得ないことを示唆します。腱板断裂を指摘されてもいたずらに落ち込む必要はないのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝