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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

医師の原点“慈しみ”の対極にあるのが“怨み”なのだろうか

公開日: 更新日:

 帰宅すると、テレビのニュースでは、戦争で小児病院が爆撃されたと報じていました。建物の残骸が映っています。道端に倒れた人をぼかして分からないようにしています。「兵士だけでなく、住民を撃った」「学校に爆撃した」……。犠牲者の数の報道は毎日続いています。生まれて数カ月の子も犠牲になっています。

 しかし人間は、どうしてこんな無謀な、無残なことを繰り返すのだろうか? と思います。いつまで戦争を続けるのでしょう? たくさんの命が奪われて、それでも続いています。

 われわれは77年前の原爆投下で、もう、戦争はできる時代ではなくなったと思って過ごしてきたように思います。どんな怨みがあっても、人を殺す戦争はすべきではありません。一日でも早く戦争をなくして欲しいと思います。

 哲学者の中村元が翻訳した「法句経」にこんな言葉があります。

「実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みの息むことがない。怨みをすててこそ息む。これは永遠の真理である。『われらは、この世において死ぬはずのものである』と覚悟をしよう。--このことわりを他の人々は知っていない。しかし、人々がこのことわりを知れば、争いはしずまる」

 戦争を起こしている一人の為政者の怨みが、たくさんの人の命を奪っていると思います。「慈しみ」の対極にあるのが、「怨み」なのでしょうか。

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