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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【ギラン・バレー症候群】食中毒の原因菌によるものが30%を占める

公開日: 更新日:

 感染症の後に起こる「ギラン・バレー症候群」をご存じでしょうか。毎年10万人あたり1~2人の割合で発症するまれな病気で、男女を問わず、また世界のどの地域でも同程度の罹患率とされています。

 ギラン・バレー症候群は、本来なら自分の体を守る役割を担う免疫機能がおかしくなり、自身の手足の神経を攻撃してしまうことで起こる病気です。主に筋肉を動かす運動神経が障害され、手足の力が入りにくくなったり、しびれ感がみられます。重症の場合、呼吸不全となり一時的に気管切開や人工呼吸器が必要となるケースもあります。

 ギラン・バレー症候群の3分の2は発症前に感染症が認められます。たとえば、カンピロバクターは食中毒の原因菌として知られていますが、ギラン・バレー症候群の約30%はカンピロバクターによるものとされているのです。また、10%はサイトメガロウイルスが原因とされています。いたるところに存在し、健常者なら感染しても問題ないウイルスです。

 もっとも、カンピロバクターやサイトメガロウイルスに感染したからといって、多くの患者さんがギラン・バレー症候群を発症するわけではありません。ギラン・バレー症候群になる確率は、カンピロバクター感染1000回につき0.25~0.65例、サイトメガロウイルス感染1000回につき0.6~2.2例くらいといわれています。

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